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歯周病で歯を失う?歯の欠損との関係と、今からできる予防について

「むし歯がなければ、歯はずっと残る」と思っていませんか?

実は、大人が歯を失う大きな原因のひとつが歯周病です。歯周病は歯そのものが悪くなる病気ではなく、歯を支えている歯ぐきや骨が少しずつ壊れていく病気です。

進行してしまうと、むし歯がほとんどないきれいな歯であっても、支える骨がなくなることでグラグラし、最終的には歯を残せなくなることがあります。

今回は「歯周病と歯の欠損」について、わかりやすく解説します。

歯周病とはどんな病気?

歯周病の主な原因は、歯の表面に付着する**歯垢(プラーク)**です。

歯垢とは単なる食べかすではなく、多くの細菌が集まったものです。

歯と歯ぐきの境目に歯垢がたまった状態が続くと、まず歯ぐきに炎症が起こります。

さらに進行すると、炎症が歯を支えている骨にまで広がり、骨が少しずつ減っていきます。

歯を「家」にたとえるなら、歯周病は家そのものではなく、家を支えている地面が少しずつ失われていく状態に近いといえます。

そのため、かなり進行するまで歯そのものには痛みが出ないことも珍しくありません。日本歯周病学会も、歯周病は自覚症状が少ないまま進行し、最終的には歯を失う可能性がある病気としています。

歯周病が進むと、なぜ歯が抜けるのでしょうか?

健康な歯は、あごの骨によってしっかり支えられています。

ところが歯周病が進行すると、

歯ぐきの炎症

歯を支える骨が減る

歯がグラグラする

噛みにくくなる

さらに進行すると歯を残すことが難しくなる

という流れが起こります。

重度になると、歯が大きく動いたり、噛む力を支えられなくなったりして、抜歯が必要になることがあります。

厚生労働省も、むし歯と歯周病を「歯を失う二大原因」と位置づけています。

「1本くらい抜けても大丈夫」は要注意

歯周病によって歯を失った場合、問題はその1本だけとは限りません。

歯周病はお口全体に起こることが多いため、ほかの歯にも骨の減少が進んでいる可能性があります。

また、歯を失った状態を長期間そのままにすると、噛める場所が少なくなり、残っている歯に負担が集中することがあります。

特に奥歯を失うと、前歯など本来強い力を受けることを想定していない歯に負担がかかり、噛み合わせ全体のバランスが崩れることもあります。

進行した歯周病では、「残っている歯をできるだけ長く守ること」と「失われた噛む機能を回復すること」の両方を考える必要があります。現在の国際的な歯周病治療のガイドラインでも、重度の歯周病では歯の本数だけでなく、噛む機能や残せる歯を総合的に評価することが重要とされています。

歯が抜けたら、すぐインプラントを入れれば大丈夫?

ここは非常に重要なポイントです。

歯周病で歯を失った場合、単に抜けた場所へインプラントやブリッジ、入れ歯を入れれば治療が終わるわけではありません。

まず重要なのは、残っている歯の歯周病を安定させることです。

歯周病が活動したまま新しい歯を入れても、周囲のお口の環境が改善されていなければ、長期的な安定につながりにくくなります。

そのため、

  1. 歯周病の状態を調べる
  2. 歯垢・歯石を取り除く
  3. 毎日の歯みがきを改善する
  4. 残せる歯と残すことが難しい歯を判断する
  5. 歯周病が安定してから失った歯を補う

という順番が基本になります。

歯周病になったら、必ず歯を失うのでしょうか?

いいえ。

歯周病になったからといって、必ず歯を失うわけではありません。

早期に発見して適切な治療を行い、その後も定期的に管理することで、多くの歯を長期間維持できる可能性があります。

最近の研究でも、歯周病治療後に定期的なメンテナンスを続けることは、長期的な歯の喪失を減らすために重要であることが示されています。歯周病治療後の管理では、患者さんの状態に応じておよそ3~12か月ごとの定期管理が推奨されています。

つまり、歯周病治療は「歯石を取って終了」ではありません。

治療した後に、再び悪化させないことが非常に重要です。

こんな症状があれば、一度歯周病の検査を

次のような症状がある方は注意が必要です。

  • 歯みがきすると血が出る
  • 歯ぐきが腫れることがある
  • 口臭が気になる
  • 歯ぐきが下がってきた
  • 歯が以前より長く見える
  • 歯と歯の間にすき間ができてきた
  • 歯が少し動く
  • 噛んだときに違和感がある

特に歯周病は、「痛くないから大丈夫」とは限りません。

自覚症状が出る頃には、すでにある程度進行しているケースもあります。

大切なのは「抜けてから」ではなく「抜ける前」

2024年に実施された厚生労働省の歯科疾患実態調査では、日本で「80歳で20本以上自分の歯を持つ方」は約6割まで増えています。

昔に比べると、多くの歯を残せる時代になってきました。

その一方で、歯周病は今も歯を失う大きな原因のひとつです。

歯周病は進行してから治療するよりも、早い段階で発見し、進行を止めることが何より大切です。

歯ぐきから血が出る、歯が少し動く、歯ぐきが下がってきたなど、気になる症状がある場合はもちろん、症状がなくても定期的に歯周病のチェックを受けることをおすすめします。

「今ある歯をできるだけ長く残す」。

これが、将来もしっかり噛んで食事を楽しむための第一歩です。